きのう(4/2)は、朝から、人事労務などをサポートしている工務店を訪問しました。社長から相談があり、今後の賃金制度、手当の整理について支援し、充実した打ち合わせができました。
その後、事務所に戻って、月曜の定例業務、書類作成、ほかの依頼者から受任している業務を片付けた後、午後3時にもう一度、工務店へ。朝、社内の花見があると聞いたので、差し入れに赤ワイン2本をレガネットで買って持参して、飛び入り参加しました。
バーベキューを食べながら、社員のみなさんと話をすると、会社の「人と組織」が身近になるし、単なる仕事ではなくなりますね。
「ちゅらさん」で、鮎川誠が演じたロックミュージシャン、ジョージ我那覇が「ロックを仕事にして食っていければ最高だぜ、でも仕事でロックをしたらダメになる」というようなセリフで、恵達に「ロックとは何か」を諭す場面があったのを思い出しました。
仕事だからやるのか、やりたいことが仕事になれば結果として最高なのか。順序が逆転しただけで、意味合いはガラッと違います。
どんな仕事も同じように思います。
これは、きれいごとを言っているのではありません。戦場カメラマンの石川文洋氏は、世界一周放浪の旅の途中でベトナムに立ち寄り、ベトナム戦争などの取材にどっぷりはまりました。桑原史成氏は名をあげるために水俣病を撮影しました。
「なぜやるのか」「なぜこの目標なのか」「なぜ自分がやるのか」「なぜ今なのか」…、本当の目的や理由を問う「WHY」を突き詰めると、本当にやりたいことが仕事になるような気がします。
ところで、私の専門分野の真面目な話も少し。同一労働同一賃金をめぐる正規・非正規労働者間の待遇の不合理な相違の是正です。
「働き方改革」改正法案(近いうちに閣議決定されて国会審議が始まり見込みです)の内容を具体化した「同一労働同一賃金ガイドライン案」から、基本給と手当について、基本的な考え方をみてみましょう。(参考文献・水町勇一郎東京大教授『「同一労働同一賃金」のすべて』)
基本給には、おおまかに、①職業経験・能力に応じて支給する職能給、②業績・成果に応じて支給する成果給、③勤続年数に応じて支給する勤続給、④職務内容、役割・仕事に応じて支給する職務給の4つのタイプがあります。
ガイドライン案の基本的な考え方は、職能給の場合は、無期雇用フルタイム労働者と同一の職業経験・能力をもっている有期契約・パート労働者には同一の支給をしなければなりません。もっている職業経験・能力に一定の違いがある場合には、その相違に応じた支給をしなければなりません。
成果給の場合は、無期雇用フルタイム労働者と同一の業績・成果を出している有期契約・パート労働者には同一の支給をしなければならず、業績・成果に一定の違いがある場合にはその相違に応じた支給をしなければなりません。たとえば、所定労働時間がフルタイムの半分の労働者に、フルタイム労働者の販売目標の半分を達成した場合に半分の支給をする制度は、ガイドライン案では不合理ではないとされています。
勤続給の場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の勤続年数である有期契約・パート労働者には同一の支給を、勤続年数に一定の違いがある場合には、その相違に応じた支給をしなければなりません。
職務給の場合でも、職務内容に応じて均衡(バランス)のとれた支給をしなければなりません。
現実には、職能給、成果給、勤続給、職務給が組み合わされているケースがほとんどですので、その実態に合わせて判断していきます。
法改正案とガイドライン案では、均等・均衡待遇を図る対象は、基本給や賞与、手当だけでなく、教育訓練、福利厚生、休憩、休日、休暇、安全衛生、災害補償、服務規律、付随義務、解雇など、労働者に対するすべての待遇が含まれます。
それぞれの待遇について、その性質・目的にあたる事情が無期雇用フルタイム労働者と短時間・有期雇用労働者とで同一である場合には同一の取扱い(均等待遇)を、当該事情に一定の違いがある場合にはその相違に応じた取扱い(均衡待遇)をすることが求められています。
今回は、同一労働同一賃金(均等・均衡待遇)を図ることが直接の目的ではありませんでしたが、ガイドライン案の基本的考え方を活用すると、納得性のある賃金設定に役立ちます。今回は、基本給と手当について、社員全員のバランスを検討しました。
基本給や手当に納得性があると、社員が生き生きと働く効果も期待できます。
企業活動における「人と組織」の問題は、労働基準法をはじめ労働法によって、雇用管理措置など会社に義務付けられているものが多くあります。モチベーションやコーチングを専門としているコンサルタントは数多くありますが、労働法の知識や経験がない場合もあり、適切な職場環境をつくるのが困難だったり、民事損害賠償請求や違反があった場合の行政指導、刑事罰などのリスクを抱えたまま放置することも生じかねません。
人的資源管理(人事労務管理)と労働法の専門家である社会保険労務士をぜひ活用して、職場の活性化とリスク予防を両輪ですすめてほしいと思います。