介護キャリア段位のあり方について検討してきた厚労省の有識者会議が、3月14日、第5回検討会を開き、議題として報告書案を議論します。
第4回の検討会では、議論の整理案が示され、そこでは、
<介護事業所・施設が介護キャリア段位に取り組むことにより、介護事業所・施設にとっては、OJTを通じた職員の能力向上、気づきを通じた評価する側の職員の自覚の向上、評価基準の設定がサービス水準の維持向上やリスク管理のツールとなることなどのメリットがあるほか、職員にとっても、職場で何ができるか証明できること、スキルの向上や処遇改善の材料につながること等の職員にとってのメリットがあり、こうしたことが介護職員の定着や新規参入の促進につながることも期待されている>として、
<介護現場で働く職員、介護事業所・施設、介護サービスの利用者等の様々な関係者に対して受け入れやすい仕組みとなっているところ。 今後、介護人材の育成に取り組むに際し、こうした成果を活用していくことが求められる>
と、今後の活用を確認しつつ、
<・内部評価やレベル認定にかかる事務負担が大きく、時間を要すること
・外部評価の位置づけについて関係者の共通認識が確立されていないこと
・介護福祉士や認定介護福祉士との関係についてわかりやすい整理が必要であること>
が指摘され、各年度2万人程度のキャリア段位認定者の育成を目指すという目標が「過大」と受け止め、「介護サービスの質の維持・向上という観点からは、むしろより幅広い視点から人材育成のあり方について、今後、検討を行うべきではないか>
という認識を明らかにしています。
そのうえで、論点整理案は、
<・評価項目 ごとに確認方法のメリハリをつけることや、評価項目自体の見直し等について効率化・簡便化を検討すべきではないか。
・介護キャリア段位は、OJTを通じて職業能力の評価を行うものである。OJTは、事業所として自らが雇用する職員に対して職務を通じて行うものであるが、実習生等の職員でないものについては、対象外とすべきではないか。
・現在、入浴介助や食事介助等の場面別に認定するユニット認定という仕組みもあり、介護場面が限られるような場合に柔軟な対応とすることが可能となっており、これを活用することが考えられる。但し、現行のユニット認定はレベル認定と直結しておらず、これらを関連づける見直しが必要ではないか。>
などの対応の方向性を整理しており、第5回の報告書案では、どこまで具体的に踏み込むのか関心が高まっています。
また、今後の活用についても、論点整理案は次のようにまとめていますので、キャリア段位に取り組む介護事業所への支援策が拡充されていくのではないかと期待が持てますし、利用者に選ばれる事業者になるための「差別化」のツールになりそうです。3月14日の第5回検討会は、注目ですね。
<・キャリア段位に取り組む介護事業所・施設に対する支援策が活用されるようにしていくことも求められるのでは ないか。
・また、介護サービスの利用者から、介護サービスを直接提供する介護職員の介護技術が客観的に認識できるような 工夫も必要ではないか。
・先進的な取り組みの結果、得られた成果や課題については、今後も、介護人材の育成を含む介護の質の向上に幅広く 活かしていくことも求められる。>
厚労省「第5回介護プロフェッショナルキャリア段位制度の在り方に関する検討会の開催について」